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妄想 2005/07/19
クルーゼ隊長、出番です!

といっても、別に某ガンダムに出てきたシャアもどきのことではない。
我が家でクルーゼ隊長といえば、紺碧に輝くフランス生まれの憎いヤツ、ル・クルーゼのことである。
知らない人のために一応いっておくが、ル・クルーゼとはホーローのお鍋のことだ。シンプルで親しみやすいデザイン、それに豊富なカラーバリエーションとすぐれた機能性で、世界中の料理好きなマダムたちに大人気のシリーズである。
ウチにあるのはブルーのココットオーバルという、簡単にいえばデカいシチュー鍋みたいなタイプなのだが、これはもともとネムネムが買ったものだ。最近ではほとんど料理らしい料理を作らなくなってしまったネムネムにも、かつては「料理好き」という属性がついていた時期があり、これはその頃に買ったものだという。

そのクルーゼ隊長にご出陣いただき、チキンのトマト煮込みを作ってリムリムとふたりで食べていた時のこと。
「あうっ!」
いきなり口もとを手で押さえてうつむくリムリム。
「ん? つわり?」
などと下品なジョークは口にしないのが紳士の中の紳士。
代わりにぼくは、むっしゃむっしゃとバゲットを食べながら、ふるふると肩を震わせているリムリムにいってやった。
野菜が嫌いだとかいって残しやがったら死なす
いや、もちろん実際にはこんなバイオレントな発言はかまさなかったが、とにかくリムリムは好き嫌いが多くて、この前トートツに高熱を発して風邪を引いて寝込んだのだって、おそらくその偏食と無関係ではない。明らかに野菜不足、ビタミン不足だ。
だからぼくは、いつもリムリムには、「それよりきみは、きちんとゴハンを食べなさい」といってきたのである。

ところが、リムリムの様子がどこかおかしい。
どうしたのかと顔を覗き込んでみると、
「うわ!? 血を吐いた!? リムリムが血を吐いた!」
驚いたことに、口もとを押さえたリムリムの指先に、赤い鮮血が散っているではないか!
誰かが今夜の料理に何か毒でも盛ったのか!? というか、ぼくの仕業か? 無意識のうちにぼくがやってしまったのか!?

などと、ぼくが紳士然とひそかに狼狽していると、リムリムはぷるぷると首を振り、
「さ、刺さった……」
どうやら食事している間に、カリカリにトーストしたバゲットの皮(耳?)の部分がざくりと口内粘膜に刺さった、ということらしい。
口を開けさせてよくよく調べてみると、なるほど、上の前歯のすぐ裏あたりが血で赤く染まっている。
「あっはっは、まったくもっておっちょこちょい、粗忽のきわみだね、きみは」
自分が無実であることを確認したぼくは、ほっと胸を撫で下ろした手を腹に添えて鷹揚に爆笑しつつ、
「放っておけばすぐに血も止まるだろうが、とりあえずはこれでも食べておきたまえ」
と、フィルムタイプのブレスケアを手渡した。

まあ、さすがにリムリムも騙されて食べたりはしなかったが。