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『Mi:2』日記14 2005/10/25
前回の話はこちら。以下、続き。

その頃すでにぼくと同居していたネムネムは、ぼくが『Mi:2』の仕事をするのをこころよく思ってはいなかった。
ネムネムは格ゲーをまったくたしなまない人間だが、こふは知っている。そんな彼女には、爆発的な人気のあった『'97』の頃ならいざ知らず、今のこふが仕事としてやる意味があるものとは思えなかったのだろう。前述した某こふの製作にかかわった時に、ぼくがいろいろとストレスをかかえ込んでいたこともそばで見てきている。
彼女はぼくのマネージャー的な存在でもあり、そういう立場からすれば、彼女のその反応も当然だった。
しかし、最終的にはネムネムもぼくの大阪行きをOKしてくれた。
蓬莱の豚まんを買ってくるから、という切り札が効いたのかもしれない。

2004年10月。
前回が『2001』のノベライズの時だったから、こふの仕事としては、実に3年ぶりの大阪ということになる。
この時のSNK本社での打ち合わせの席には、あらたにプロデューサー氏が加わった。
どこかで見たことがある人だなと思っていたら、イラストレーターのFALCOON氏だった。そういえば特典DVDのインタビューにも出ていたっけ。
前回の『KOF MAXIMUM IMPACT』に引き続いて『Mi:2』でもキャラクターデザインを担当するというハナシだが、今回はそれに加えてプロデューサーも兼ねることになったらしい。実際には、もっと多くの仕事を兼任するのだろう。本家こふのキャラ絵を描いたりソフトのパッケージを描いたり、本当にこの人は、目に見えるところだけでもかなりの量の仕事をしている。

そんなF氏を交えての初の打ち合わせでまず話し合ったのは、現在の『Mi』の『餓狼』っぽい世界観を『Mi:2』でどうするかということだった。詳細についてはまだ語れないが、個人的な意見としてぼくが思うところを述べてみた。
「いいんじゃないですか」
H部長が即答した。
「そこは嬉野さんにお任せする部分ですから、どうぞお好きなようにやってください」
「でも、ぼくひとりでストーリーを決めてしまうのはどうなんでしょう? 普通は企画の人たちがいろいろな案を出し合って、スタッフみんなで考えていくものなんじゃないんですか?」
ぼくは、ぼくがストーリーのすべてを担当することによって、それが独善的なものになってしまうのを警戒した。ぼくが「これがいい」と思うものを、こふファンのすべてがいいと思ってくれるわけではないということは、ぼくもノベライズへの反響で充分判っていた。ぼくのノベライズにはぼくの趣味みたいなものが入りすぎていて、それが嫌いだという人がいることも知っている。
特にそれは、裏設定の多くが発表されないままになってしまい、それをどうにか小説で補完しようとあれこれ詰め込みすぎた感のある「ネスツ編」で顕著だった。
しかしH部長は、それでもぼくにすべてを任せるといった。
現場の人間がストーリーを作ろうとすると、ゲーム部分の製作が最優先になりがちで、どうしてもストーリーはあと回しになってしまうという。極端なことをいうと、ゲームの完成が見えてきてから、ようやくストーリー部分に手がつけられるということもあるらしい。
実際には、キャラ的な部分はそれよりはるか前に完成しているのだろうが、何となくいいたいことは判った。
要するに、ストーリーだけに専念する人間が欲しいということだろう。そもそもこの話がぼくに回ってきたのは、10年分のこふシリーズのストーリーや設定を把握し、なおかつそういうことをできる人手が、開発スタッフの内部にいないからなのだ。

つづく。