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妄想 2006/03/29
人は、ある日突然、何の前触れもなく恋に落ちることもある。

ネムネムがある男にひと目惚れした。
相手はこの若者である。

くずのはくん

彼の名は、葛葉ライドウという。

「ねえねえ、この人が出てくるゲームはウチでできるの?」
いったいどういう拍子にスイッチが入ってしまったのか、会社から帰ってきたネムネムが、葛葉ライドウのイラストをしめしつつぼくにそんなことを尋ねてきた。
「…………」
何を聞かれたのか一瞬理解できずに、ぼくはいぶかしげにネムネムの顔を凝視してしまった。
「きみは……『デビサマ』シリーズやったことないよな?」
「は? ナニそれ?」
「『デビサマ』といえば『デビルサマナー』に決まっているだろう」
「いや、だから知らないって」
「知らないのにどうして『ライドウ』がやりたいとかいい出したんだ、きみは? そのゲームはアレだぞ、正確には『デビルサマナー 葛葉ライドウ対超力兵団』というんだぞ?」
「え、そうなの?」
「だから、どうしてそんなことも知らないのにいきなりやりたいとかいい出したんだ? と聞いているんだが」

ぼくが知るかぎり、ネムネムはほとんどゲームをやらない人間だ。
何しろこれまでの人生で一番やり込んだゲームが『ぶつ森』という女である。
それ以前のゲーム暦となると、ぼくにつき合ってほんの少し『PSO』をかじっただけとか、GBAの『ポケモンピンボール』に軽くハマったとか、『パラッパラッパー』をいじったことがあるとか、しょせんはその程度である。『ぶつ森』以外に好きなゲームは何かと尋ねるたびに、「ん〜……『上海』かな?」というような女なのである。

たぶんネムネムは、いわゆる普通のRPGというものをやったことがない。
そんな彼女が、なぜよりにもよってこんなマニアックな――悪魔好きでなければやらないような『デビサマ』などに心惹かれたのか。やはりアレか、吉祥寺でときおり見かける悪魔絵師の影響なのか?

「いや、ホントになんかこの学帽の人が気になっただけなんだけど」
「きみの好みがぼくにはよく判らん」
「で、その『ライドウ』くんてゲームはウチで遊べるわけ? 遊べないわけ?」
「ウチにはPS2が2台あるのを知らないのかね? 1台は借り物のデバッグプレステだが」
「ああ、プレステで遊べるんだ」
どのゲームが何のハードで動くのか、その程度の区別もつかない人間が『デビサマ』をやろうなどと100年早い! GBA版の『真・女神転生』を貸してやるから、きみはまずそこから始めろ!
――といってやりたかったが、アレはアレで『ライドウ』以上にうじゃらうじゃらと大量の悪魔が登場する。そのいちいちをぼくが説明するハメになったら面倒なので、ぼくはひらひらと手を振ってテキトーにうなずいた。
「ああ、遊べる遊べる。道は長いと思うが、まあ、がんばりたまえ」
「じゃなくて、うれうれがやってよ」
「は?」
「わたしできないから、うれうれがやってよ、『ライドウ』。わたしそれ見てるから」

……正気か、この女? それで本当に楽しいのか? ゲームは自分で遊ぶから面白いのであって、脇で見てるだけではまったく面白くないと思うのだが、この女の思考回路はどうなっているのだろう?
それとも、それをこうして疑問に思ってしまうぼくの感性のほうが普通ではないのだろうか?

「ねえ、いいじゃんいいじゃん、やってよ」

そういうことは肝心のソフトを用意してからいえ