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妄想 2006/04/11
「きょう身体測定があったんだけどさー」

夕食後にそんな話題を切り出してきたリムリム。
この前買ったおニューのエプロンを鼻歌混じりに試着し、「へい、らっしゃい!」などと寿司屋の真似事をしている少々おゆるい小娘は、なんだかちょっぴり嬉しそうだ。
「身長が×××センチでー、体重が○○キロだったんだよねー」
ぼくの勝手な思い込みかもしれないが、普通、女性というのは自分の体重をこのように嬉々として男相手に打ち明けたりはしない。もし例外があるとすれば、それはよほど自分の体重に自信がある時だけだろう。

「……いつもいっているが、きみはもう少し太ったほうがいいぞ」
「え〜」
「え〜じゃなくて、きみはやせすぎだ」
別にぼくは、自分のBMI値が26だからといってこんなことをいっているのではない。リムリムは本当にやせすぎなのだ。何しろ18.5以上25未満が標準とされているBMI値が、リムリムの場合、たったの15しかないのだから。
そして何より腹立たしいのは、リムリムの場合、わりと欲望のおもむくままに好きなものばかり食べているくせに、つねにこういう細い体型を維持していることだ。いわゆる若年性のやせ願望による無理なダイエットなどというものとはまったく無縁で、「やせたい!」と思ってやせているわけではなく、どうやらいくら食べてもなかなか太らない体質らしいのである。
くそう。

「あれ? どうしたの、うれうれ? そんなぷるぷる拳なんか震わせて」
「……いや、別に」
「ところでわたしさー、最近ちょっと気になる男の子がいるんだよねー」
顔を赤くしていきなりそんなことをいい始めるリムリム。
さてはヤケにうきうきしているように見えたのはそのせいか。
「ねー、誰だか聞きたい〜?」
「別に」
「え〜? 聞きたくないの〜?」
「うん」
ぼくはコンバトラーVのBMI値を計算しながら、リムリムをテキトーに突き放してみた。
もしぼくが「うん、聞きたい聞きたい!」などとダボハゼのように食いついたりすれば、リムリムが無意味に増長するのは目に見えている。実際、ぼくはリムリムの意中の男子などにまったく興味はなく、むしろリムリムのほうが誰かにしゃべりたくて仕方ないという風情なのだ。なら、ぼくがわざわざ「教えてよ〜」などと下手に出る必要はない。
大人気ないといわれようが何といわれようが、ぼくはこんな小娘に会話の主導権を握られるのは嫌なので、あくまでリムリムが自発的に告白してくるのを待つことにした。
「誰にもいわないんだったら教えてあげてもいいんだけどなー」
「だから教えてくれなくてもいいといっているだろう?」
「え〜」
「そもそもぼくはきみのクラスメイトのことをよく知らないからな。名前を聞かされても誰が誰やらさっぱりだ」
「え〜? ホントに聞きたくないの〜?」
「きみがどうしてもしゃべりたいなら聞いてやらないでもないが、聞いたところで特に何の感想も出ないぞ?」
「え〜?」
「え〜え〜うるさいな、きみは。いちいちそんな報告はしなくていいから、さっさと自分の部屋に戻って勉強でもしたらどうかね?」
と、もうひと押しぼくが強く突き放すと、リムリムは慌てて、
「あー! それじゃアレだよ、ネムネムにはいってもいいけど、ほかの人には絶対ナイショだからね?」
などと勝手な条件をつけて勝手にしゃべり出した。いったいナニが「それじゃアレ」なのか。

……とりあえず、リムリムが好きな男の子の名前は判った。
例のKくんと別のクラスになってしまったことで、彼女もあらたな恋に生きることにしたのかもしれない。
まあ、この情報は、いざ何かあった時に有効に利用させてもらおう。

くっくっくっくっ……