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妄想 2007/05/13
動物愛護週間。

ゴールデンウィークの終わり頃に、田舎に行った。
ぼくの田舎は、モータースポーツのファンにはツインリンクで有名な茂木のちょい南にあり、鉄道ファンには週末ごとにSLが走ることで知られている小さな町だ。
で、軽く僻地なので、家の周りには自然が多い。庭先の茂みに野生のキジがやってきてときおり卵をあたためていたりするくらいにネイチャーだ。以前は野生化したニワトリのつがいを目撃したこともあった。

そういう環境と果たして関係があるのかないのか不明だが、ウチの実家周辺にはノラネコが多い。あのキジもよくもまああれだけネコのいるところに降りてくるものだと思うが、ともあれたくさんノラネコがいると、そのうち、家に上がりこんで半イエネコ化するものも出てくる。
ウチの実家にも、ここ10年以上、つねにミケネコがいる。その時によって、サクラと呼ばれていたりアヤメと呼ばれていたりするので、定期的に代替わりしているようだが、帰省してネコがいなかったことはまずない。
ちなみに、リムリムはこのネコたちにあまり歓迎されていない。ガキは「ネコだネコだ!」と必要以上に騒いでいじりまくろうとするからだ。

とまあ、そのネコのことなのだが。
今のネコの名前が何なのかはぼくもよく知らないのだが、とにかくそのネコに母が勝手口のところでエサをくれていると、どこからともなくノラネコたちがやってくる。隙あらばお相伴にあずかろうという手合いであろう。たいてい、こういう警戒心の薄いネコの中から、実家にいつく半イエネコが出てくるわけだが、この前そういうネコたちをぼんやり眺めていたら、1匹だけ明らかに毛並みが違うのがいる。
集まってくるネコたちの大半はミケネコ、時に茶虎っぽいのが混じっていたりもするが、一見して、いかにもそのへんをうろついていそうなネコだなと判る連中ばかりだ。
ところがそのネコは、青というかブルーグレーというか、そういう系統のネコだった。アメリカンショートヘアーなのかブリティッシュショートヘアーなのかは知らないが、少なくとも、きちんとしたお店で買えばそこそこするネコなのではないか。
あんなネコを捨てる人がいるのかと思っていたら、母がいうには、あれは生まれた時からノラネコで、ウチの工場(ウチの実家は材木店である)の隅っこで生まれたらしい。その親は捨てられたネコだったのかもしれないが、少なくともあそこでキャットフードを狙っている眼光鋭いエセショートヘアーは、このあたりで生まれた生粋のノラだそうだ。

――という話を受けて、つい先日。自宅から徒歩で吉祥寺に向かっていた時のこと。
青いような灰色いような、巨大な毛玉のようなものが視界の隅に入ったように感じて、ぼくは足を止めて振り返った。
細い通りの塀際の路肩のところに、小さなネコのぬいぐるみめいたものがちょこんと置いてあった。なぜこんなものがと思って近づいてみると、実はそれはぬいぐるみではなく、生きたネコだった。
ぼくのてのひらに乗るくらいのサイズなので、まだ生まれて間もないのだと思う。むくむくとした毛に覆われているところはヒマラヤンぽいが、顔はあそこまで平面ではない。よく見ると、左目に涙を浮かべていて、右目は目ヤニで開かない感じだった。
どこかのご家庭でネコの仔が生まれたはいいが、眼病だったのであっさり捨てられてしまったのではないか。ぼくが接近してもまったく逃げ出さなかったところからすると、空腹で動くに動けないのかもしれない。
そもそもその通りは、女子大通り(という通りがあるのよ)から五日市街道へと通じる一方通行の道で、タクシーの運転手さんたちが抜け道としてよく使っているルートなのだ。実際、ぼくがそのネコを観察している間も、すぐ脇を、タクシーがびゅんびゅん通りすぎていく。
「こんなところにロクに動けない病気のネコがいたら、行く末はもう見えてるなー」
などと切ない気分になりながらも、ハンパな同情はよくないと思ったので、ぼくはそのネコに触れることなく立ち去った。ウチではネコは飼えないのだ。

翌日、同じ道を通ったが、すでにあのネコはそこにはいなかった。アスファルトの上にも、イヤ〜な黒いシミはできていない。とりあえずここでタクシーにぺちゃんこにされるという過酷な運命からは逃れられたようだ。
一応、通学路っぽい場所ではあるので、誰かに拾われたのかもしれない。
――だといいなあ、と思いつつ、キティいなりを買って食べるぼく。