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妄想 2007/10/03
とりあえず、勝負には勝った。

きょうは阿佐ヶ谷の病院に行く日だった。
7月の終わり頃に、そこの小太りのドクターから、
痩せてください
と、素人でもできるありがたいアドバイスをいただいたのだが、きょうはその経過を確認する日なのである。
ぼくに課せられたノルマは2カ月で2キロの減量。といっても、今回のターゲットは運動すれば落とせる皮下脂肪ではなく、おもに食事制限でしか対処できない内臓脂肪――フォアグラになりかけたぼくの肝臓である
あの日から、ぼくは炭水化物の摂取量を意識的に減らしてきた。その、長く暑い夏の日々が、今ようやく報われようとしているのだ!

……実際のところ、家を出る前にウチの体重計で計ったところ、すでにぼくの体重は7月末からくらべて3キロほど減っていた。実はこの体重計が壊れていた、などというオチさえつかなければ、これでもうぼくの勝ちは決まったも同然である。
内定をもらった大学生のごとく、ぼくは意気揚々と病院へ向かった。

「○野さ〜ん、○野○彦さ〜ん」
ふだんペンネームで呼ばれる生活をしていると、たまに本名で呼ばれた時にちょっとびびる。
もちろん、そんな動揺はおくびにも出さず、ぼくは堂々と医者の前に座った。
「どうです、あれから? 何か変わったことでもありましたか」
「いえ、すこぶる健康です」
「ほー。それで、今の体重はどのくらいです?」
「いやー、朝計ったら○○キロでしたよ」
いつでも体重計に乗って証明してやるぜ! という意気込みとともに、自信たっぷりにいい放つぼく。
だが、ぼくの予想に反して、ドクターの反応は薄い。
「ほー、3キロマイナスですか」
あまり感心しているとも思えない、気のない相槌を打ちながら、ぼくが口にした数値をそのままカルテに書き込むドクター。

ちょっと待て!?

よく判らないが、それはアリなのか!?
患者を疑ってかかれとはいわないが、ふつうは確認の意味もこめてこの場できちんと計量するものではないのか? これがインフルエンザの問診表に書き込む現在の体温だったとしても、あんたは患者の自己申告を鵜呑みにするのか? もしぼくがこの場で「50キロまで痩せました」といったら、やはりそれをそのまま書き込むのか?

……などとぼくが心の中で叫んでいるのをよそに、ドクターは、
「ま、これはもう食事制限しかありませんから。運動で落とそうと思ったら、アスリートと同じくらいの運動をしないといけませんが、ふつうの人は運動したぶんまた食べちゃいますんでまず無理です」
と、どこかで聞いたことのある解説。それは前回の診察の時も聞いたよ、先生!

ナニやらこのまま診察を終わらせようとしている気配が感じられたため(診察室に入ってからまだ3分もたっていない)、ぼくは咄嗟に燃料を投下してみた。
「あの……ひとつ質問なんですが」
「何です?」
「あのですね、食事制限を始めてから少しずつ減っていったはずの体脂肪率がですね、ここ最近、また上昇に転じてしまったみたいなんですが、これはどういうことなんでしょうか?」
「ああ、体脂肪計で表示されるのはあくまで皮下脂肪であって、内臓脂肪じゃありませんからね。運動で減量すれば皮下脂肪はどんどん減りますが、食事制限では皮下脂肪はそのままです。今回の○野さんは、皮下脂肪はほとんど減らずに全体の体重だけが減ったわけですから、相対的に皮下脂肪の割合が上昇したということなんじゃないんですかねえ」
なんだその曖昧ないい方は! もっと患者を安堵させるようないい方をしろ!
「ああ、それとですね」
「はいっ?」
「あなた、悪玉コレステロールが多いです。タマゴ好きでしょう?」
「はあ」
タマゴ控えてください。特に卵黄のコレステロール含有量は、豚や牛の脂肪の5倍もありますから」
炭水化物制限に続いてタマゴ制限……! もはやカツ丼は食うなということか!?
「それじゃ、次は12月12日ということで」
「え?」
「こういうことは継続していくのが大切ですからね。12月12日にまた来てください。それじゃお大事に」
予定より30分も長く待たされた末に、肝心の診察時間は正味5分もなかった。聞かされた話も7月のそれと大差ない。
だいたい、2カ月たったらまた来てくれというのは――。

てめーっ! それは俺にまた2キロ痩せてこいってことかーっ!?