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妄想 2008/04/03
ドッゲエエエェェ!

ふと気づくと、リムリムの眼鏡の左のレンズがない
「……きみ、それ、どうしたのかね?」
「あ、ばれた」
「ばれたじゃねーっ!」
ぼくたちは浜松町に行く途中だった。特に意味はないが、去年の夏に日本橋から移転したポケモンセンタートウキョウに、一度行ってみたいなーとぼくがもらしていたら、リムリムがそれに便乗してくっついてくることになったのである。
なったのであるが――。
駅で並んで電車を待っている時、ふとかたわらの独眼龍少女を見下ろしたところ、眼鏡の左側のレンズがなく、おまけによく見てみると、フレームが壊れているのである。今まで気づかなかったぼくも注意力散漫だが、壊れた眼鏡を平然とかけているこの子もこの子だ。
予定では、吉祥寺から神田経由で浜松町に行くつもりだったが、西荻窪で急遽電車を降り、徒歩で家に引き返す。
道中尋問スタート。
「きみ、そんな眼鏡で午前中も塾に行ってたのか?」
「うん」
「周りから変な目で見られたろう? いったいいつ壊した?」
「うーん、判んない」
「判らないことはないだろう! つねに身につけているものが、自分も気づかないうちにいつの間にか壊れていたなどということがあるか!」
「いや、でも……はずしてる時に壊れたみたいだし……」
「それもありえない話だろうが! どうしてはずして机の上に置いておいた眼鏡が勝手に壊れる!?」
低く押し殺した声でぼくが怒鳴りつけると、ひさびさにしゅんとした声でリムリムが弁明を始める。
どうやらこの少女は、寝床で本か何かをずっと読んでいて、眠くなったので眼鏡をはずして枕元に置き(いつもは自分の机の上に置いている)、そのまま寝入ったところ、寝相が悪くてごろん、ばきっ! とやってしまったらしい。

まあ、不注意があったとはいえ、わざとやったわけではないから、このことについてはあれこれいっても仕方がない。
がしかし、ぼくが問題視しているのは、ぼくが気づくまで眼鏡を壊したことを黙っていたということだ。
食事の時は、ぼくとリムリムは向かい合わせに座っているから、眼鏡が壊れていればさすがにぼくも気づいていたはずだが、彼女は朝食の時、眼鏡をかけていなかった。思うにこの少女はこの時から隠蔽工作をしていたのだろう。
とはいえ、それでこの先ずっと隠し通すことなど不可能なわけで、こっそり自腹を切って眼鏡を修理するならともかく、いつかかならず事実が露見するだろうことは火を見るより明らかなのに、いったいこの少女は何を考えてこんな悪あがきをしたのだろうか。

ともあれ、そんなお小言を小一時間続けていたとしても何の解決にもならない。リムリムはあしたも塾があり、来週からは新学期が始まってしまうのだ。ポケセンなどに行っている場合ではない。
いったん家に戻ったぼくたちは、リムリムの寝床から左側のレンズを回収し、この眼鏡を作ってもらった新宿の眼鏡屋に向かったのだった。