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妄想 2014/04/15
黒歴史:心に棚を作れ!

そんなこんなで、ぼくの主戦場はスニーカー&ファミ通になった。当時のファミ通はファミ通ゲーム文庫というレーベルで、ぼくも格闘ゲームのノベライズしかやる気がなかったため、スニーカーではオリジナル、ファミ通ではノベライズという住み分けでやっていくこととなった。
というか、そのつもりでいたわけだが、スニーカーでの『チキチキ』がそれなりに好評を得てスタートしてしばらくした頃、SF文庫の担当さんから久しぶりに電話がかかってきた。前にも書いたが、この担当さんとは、夜の神保町でいいたいことを思う存分いってお別れして、これで縁切りになってもいいと思っていたし、そうなるだろうというようなことをいわれてもいた。それだけに、いったいいまさら何の用があるのだろうかと疑問だったのだが、久闊を叙するあいさつもそこそこに、担当さんは切り出した。

「次の新作、どうしますか?」

な、何だってーっ!?
これまでのようには仕事を頼むことはできないとかいってたのに、半年ぶりにかかってきた電話の第一声がこれか! いったいどういうことなのか?

「新作は少し気分を変えてコバルトで出してみましょうか」

担当さんは半年前のぼくの決別宣言にはまったく触れない。完全になかったことにされている。ひょっとするとアレか、『チキチキ』が売れているからか? まったく誇れることではないが、『チキチキ』はそれまでぼくがSF文庫で出したどの本よりも売れている。それでまた声がかかったのかもしれない。
そう考えたぼくは、あちらがすべてをなかったことにして接してくる以上、ぼくもすべてをなかったことにして対応しようと決めた。
なぜなら、当時のぼくにとっては、仕事の取引先(=書かせてもらえるレーベル)は1社でも多いほうがいいからである。

「そうですね、コバルト文庫なら、ちょっと女の子向けを意識した作品にしますか」

などと調子のいいことをいいながら、ぼくはこれまできちんと書いたことがなかった、オーソドックスなファンタジーものをやってみようと考えていた。