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妄想 2005/04/09
所用あって吉祥寺に行く。
駅を降りてアーケードをしばらくまっすぐ行くと、とある本屋のところに、何やら野郎率の高い行列ができているのを発見。しかも、ぼくがスムーズに溶け込めそうな、一定の方向性を持ったジェントルマンたちばかりの行列ときている。
これはいったい何ごとかと思って近づいてみると、書店の前にエマさんの等身大ポップが立っている。エマといっても、ガンダムとかに乗りそうなエマさんではなく、英國戀物語のほうのエマさんである。

そういえば以前、ネムネムが、吉祥寺で森薫さんのサイン会があるとかいう話をしていたっけ。してみると、マサにコレがソレなのだろう。
そう考えたら、神妙に並んでいるジェントルマンたちが、いかにもメイド好きっぽそうに見えてきた。
「よぅし、それじゃぼくもいっちょう並んでみるか!」と思わないでもなかったが、どうやらこのサイン会は、事前に本屋さんのほうへ申し込みをしておかなければいけないらしい。
「なるほど、ここに並んでいるジェントルマンどもは、膨大な数の申し込み者たちの中から先着順で選ばれた、真のますらおなのだな」
「ますらおかどうかは判らないけど、先着順で選ばれたのは確かよね」
「ま、それなら仕方ないよな」
「っていうか、それ以前に申し込みしてないじゃん、うれうれ」
「まあそうだが……何だ? まるで自分はサイン会に行けるようないい方ではないか?」
「うん」
「何!? なぜだ! 何ゆえにそのようなことが許される!?」
「いや、申し込んだから……」
何だと!? ふざけるな! それはアレか、近所に住んでいながらこの絶好の機会を失ったぼくに対する当てつけか、この寝ぼすけ女! ぼくだってドロテア奥さまのイラスト入りサイン色紙が欲しいんだぞ!
……などと怒りに拳を握りかけたぼくの脳裏に、リチャード・ジョーンズ氏の言葉がまざまざとよみがえってくる。
そう、上流階級に何より必要とされるものは、品格と知性と礼節なのだ! 寛恕の心を持った紳士たれ、うれうれ!
「ねえ、うれうれ、どうして拳握り締めてるワケ?」
「……いや、別に」
人知れず深呼吸をして怒りを鎮めたぼくは、ぽむりとネムネムの肩をたたいた。
「さあ、行ってきたまえよ。あの行列に混じって長時間待つのは厳しいかもしれないが」
「え、いいの?」
「無論だ! スコーン大好き英国紳士風味の日本男児に二言はない!」
「ありがと。それじゃ行ってきま〜す♪」
嬉々として本屋の中に駆け込んでいくネムネム。

ふっ……これでいいんだ、これで。エンターブレインで仕事をしていれば、モニカ姉さまの色紙をもらう機会くらい、いつかきっと訪れるさ……。
「ねー、うれうれ、どうして唇わななかせてんの?」
その声にはたと我に返るぼく。
そういやリムリムもいたのだった。すっかり忘れていた。
「どうでもいいけどさー、どうせだからお花見していこうよ、お花見ー」
いわれてみれば、確かに今は桜の季節で、おまけにきょうはとびきり天気がいい。

で、ぼくとリムリムは井の頭公園に向かった。
土曜日の井の頭公園は、桜の数やマガモの数や甲羅干ししているカメの数より、花見に来ている人間の数のほうがはるかに多かった。
予想できていたこととはいえ、この人出には辟易させられる。
これだったら、あのジェントルマンたちの行列に混じって並んでたほうがよっぽど楽だったかもしれない。
くそう。