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妄想 2005/05/18
先日のゴールデンウィークの話の続き、というわけではないが、連休の終わり頃に、3人で箱根に行った。
とはいえ、観光目的で行ったわけではない。何というか、保養目的というか。とにかく、ホテルに行って温泉につかって、おいしいもんを食べてだら〜っと寝て、そして帰京するだけという、実に人間の原始的な欲求に忠実な旅行である。
しかし、そのこと自体はまあいい。
問題は、箱根行きのロマンスカーに乗るため、新宿へ向かう途中の地下鉄丸の内線の車内でぼくらが目撃したものだ。

ぼくたちは、リムうれネムという並びで座っていた。
仕事に疲れていたネムネムは、電車に乗るなりさっそく眠そうにしていたので、ぼくはリムリムととりとめもない話をしていた。
と、その時ぼくの視界に、正面の座席に座っているひとりの女性の姿が飛び込んできた。
正確には、彼女はネムネムの真正面だったので、ぼくから見るとやや斜め前方に位置することになる。
その女性は、白いTシャツにGジャンだったか、とにかくそんなラフなスタイルで、これだけはハッキリと覚えているが、かなり丈の短いジーンズのミニスカを履いていた。ただ、いささか失礼だが、そのファッションにふさわしい年齢には見えない。
のちにぼくがネムネムに語った表現をそのまま使うなら、
「何ていうか……ソバージュにした木野花みたいな人?」
だった。
木野花というのはこういう人で、ぼくにとっては、劇団☆新感線の『花の紅天狗』で月影先生をやっていた女優として記憶に残っている。
とにかく、その木野花似の女性は、ときおりソバージュ気味の長い黒髪をかき上げながら、うつむき加減でじっと座っていた。
だが、ぼくはその人をしばらく見て、それから慌てて視線を逸らした。
別段その人は、あたりに威圧的な視線を飛ばしまくっているわけでもないし、奇声を発しているわけでもなかったのだが、ただ、そのミニスカから、エラくたくましい脚が覗いていたのだ。
それも、決して男の目から見て嬉しい種類の脚ではない。くっきりと筋肉が浮き出たような、どっちかといえばアスリートっぽい脚だった。
そういえば、かなりガタイもよさそうだ。もしかするとこの人は、若い頃にスポーツか何かをやっていて、その延長で今も身体を鍛えている女性なのかもしれない。そういう人が、あまり似合っていないことに気づかずに、ヘンに若やいだスタイルでうっかり外出してしまったんじゃないかと、ぼくはそう思ったのだ。
それをじろじろと好奇の目で見てはあまりに失礼というもの。紳士たれ、うれうれ! ぼくの頭の中で、ふたたびリチャード・ジョーンズ氏の言葉が……。

「ちょっとうれうれ! そういやさっきのアレ、見た!?」
箱根に着いてから、ネムネムが思い出したようにいい出した。
「アレって?」
「アレよ! 丸の内線でわたしの正面に座ってた人!」
「ああ……あのミニスカの木野花」
「あの人キョーレツじゃなかった?」
やけにコーフンしているネムネム。てっきり寝ていたと思っていたのに、どうやら薄目を開けてじっとその人を確認していたらしい。
「キョーレツっていうか……スゴい脚してたよね、あのおばさん」
「はぁ!? ナニいってるの! あれオトコだったわよ!?」
「え!? 身体鍛えすぎてゴツくなっちゃった木野花似のおばさんじゃないの!?」
「オトコよ、オトコ! どこ見てたの?」
「い、いや、じろじろ見たら失礼だなって思って……お、オトコだったんだ、あの人……」
いわれてみればそうだったのかもしれない。だんだんそんな気がしてきた。アレは女装したおじさんだったのだ。
とすれば、木野花似のおばさんではなく、粟根まこと似のおじさんというべきか。共通項は黒縁メガネ。

しかしネムネムよ。
よりによっておいしいおそばを食べた直後に、ちょっとマッチョな女装癖のあるおじさんの話題を振らなくてもいいだろう?
嫌がらせか?