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妄想 2007/08/01
大きくなったら何になる?

「わたしさ、今、後輩の子から誘われてるんだよね」
夕食の時に、神妙な表情で切り出すリムリム。
「誘われてるって、西荻の夏祭りにかね?」
「そんな瑣末なことじゃないよ」
たぶん、別のシチュエーションで、ぼくが夏祭りを瑣末なことと断じたら、絶対に「お祭りは瑣末なことじゃないよ! 大切なイベントだよ!」と力説するに違いないリムリムが、きょうにかぎってはなぜかそんなことをいう。
では、彼女のいう瑣末ではないこととは何なのか?
「ひとつ下のRって子がいてさ……そのRがね、わたしと、それにWって子の3人で、将来いっしょにお店をやりたいっていうんだよね」
「お店? 何の?」
「いや、そこまで具体的な話じゃなくて、今はまだ漠然と、小さなカフェとか……ほら、吉祥寺的な感じの
「吉祥寺でカフェをやりたいというのはそこそこ具体的な目標だと思うが、その子はなぜそんなことをいい出したのかね?」

聞けばそのRちゃん、なかなか料理が得意だという。そこで、将来はそっち方面の才能を生かして自分のお店をやりたい、ということらしい。
だが、何よりもぼくが首をかしげたのは、その大事な夢を具体化しようとするメンバーの中に、なにゆえこの勇者少女を含めているのかということだ。
もうひとりのWちゃんがどういう子かは知らないが、少なくともウチのリムリムは、飲食業では何の役にも立たないと自信を持っていえる人材だ。料理もダメなら接客もダメ、せいぜい力仕事くらいにしか使えまい。

ぼくがそのへんについて尋ねると、
「まあ……スタート地点はね、Rがみんなといっしょに暮らしたいっていい出したことなんだけどさ」
「ほほう」
「大学生とか社会人になればさ、親元を離れてひとり暮らしとかすることになるでしょ? でもRは、その時はわたしやWといっしょに暮らしたいっていうわけよ」
「ヤケにきょうは帰りが遅いと思っていたら、そんなことを話していたのかね、きみらは」
「うん」

ぼくには思春期の少女の思考パターンは今イチ理解できないのだが、まあ、この年頃の子がいいそうなことではあるな、とも思う。
きっとこのRちゃんは、吉祥寺で3人の人間が同居できる物件の家賃の相場も知らなければ、家族以外の人間との同居生活の難しさというものも判っていない。実家を離れての、仲のいい友人たちとの自由な暮らし――そんな甘美な幻想に酔っているだけなのだろう。
たとえばラブラブなカップルだって、同棲を始めたとたんに相手の欠点が目につくようになり、それが原因で別れるというケースも少なくないのに、それが同性の友人、しかも3人ともなれば、ふつうのカップル以上にいろいろな問題が出てくるのは火を見るより明らかだ。

そう――他人との同居生活の難しさは、かくいうぼくも痛いほどよく判っている。いってみれば、我が家も男ひとりに女ふたりのルームシェア状態なわけで、同居を始めた頃は、家事の分担などであれこれもめたものだ。
……まあ、いつの間にか家事の大半をぼくがすることに落ち着いてしまったわけだが。

なんだか哀しくなってきたのであしたに続く。