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妄想 2007/06/04
モラルハザード!

夕刻、勇者少女が医者に行くというので、そのあと西荻の駅前でいっしょにごはんを食べることにした。
といっても、好き嫌いの多いこの小娘に、きちんとした店で奢ってやるなど金をドブに捨てるにもひとしい愚行なので、そういうところへは行かずにお手軽に近くのジョナサンへ。
ついこの前も吉祥寺のココスへ行っていたような気もするが、細かいことは気にしない。だいたい、ぼくは今、左手を軽く怪我しているので、あまりフライパンを持ちたくないのだ。

「野菜食わないなら、きみ、自腹ね」
席に着くなり自分の好きなものだけをオーダーしようとする世間をなめた小娘に、まずはぐさりと太い釘を刺しておく。リムリムは不服そうだったが、自分で払うよりはマシだと思ったのか、しぶしぶパスタとサラダを注文する。
というか、この少女はふだんから肉と炭水化物ばかり食べているのに、なぜこんなにスリムでいられるのか。別に食べる量が少ないわけでもなく、確実にネムネムより食べているはずなのに、なぜかリムリムはまったく太らない。
ぼくがその理不尽さにひとりぐろぐろとした思いをかかえていることにも気づかず、リムリムがあっけらかんとして話しかけてきた。
「そういえばきょうさぁ、Sちゃんに呼び出されちゃって」
土曜日にちょっとした行事があったため、リムリムの学校は振り替えできょうが休日だった。そんな休みの日に、リムリムが隣のクラスの女子に近くの公園だかどこだかへ呼び出されたのだという。
「でさ、Sちゃんがわたしにいうわけ。『わたし、Hくんに告ったんだけどフラれちゃった』って」
「Hくん? Hくんというのはもしかして、よりによってきみに告白した物好きのHくんのことかね?」
「よりによってってナニよ」
「細かいことはさて置き、そのSちゃんとやらは、きみがHくんに告白されてつき合い出したということを知っているのかね?」
「っていうか、まだ誰も知らないはずだよ、ウチらがつき合ってるって」

さもあらん、もしそのSちゃんがリムリムとHくんの仲を知っていたら、フラれた直後にリムリムにそれを打ち明けたりはすまい。

「……で、きみはSちゃんにそのことを打ち明けられて、いったい何と答えたのかね?」
「ドンマイドンマイ、そんなの時の運だよ〜♪ って、なるたけ明るく」

こっ、この小娘は……それで相手をなぐさめているつもりか!? 恋が実るも敗れるも時の運などとほざいたら、世の中の恋する乙女たちすべてを敵に回しかねんというのが判らんのか!?
しかもこの小娘、HくんがSちゃんをフってくれたことがよほど嬉しいと見えて、ぼくが聞きもしないことをあれこれ説明しながら、にっこにこにっこにこ笑ってやがる! まさか貴様、Sちゃんの前でもそんな勝ち誇ったようなどーだ顔をしていたのではあるまいな!?

「あれ? どうしたの、うれうれ? フォークを握り締めた右手を細かく震わせたりして?」
「いや、別に……」
「でもさ、HくんがもしSちゃんの告白にOK出してたら、わたしHくんのこと蹴ってたね
「まあ、きみならそうするだろうな」
「それにさ、こういっちゃアレだけど、Sちゃんって気が多いんだ。もしわたしのことがなくてもHくんはSちゃんとつき合う気なかったと思うな」
「気が多いというのは?」
「Sちゃんね、友達とかに好きだって公言してる男子が4人くらいいるんだよ。で、そのうちのふたりと実際にチョー仲がいいの」
「……それはひょっとして、二股というアレなのでは?」
「うん」
「同じクラス同士なのに、気づかれてないわけ?」
「さあ?」

……何なのだろう? リムリムのクラスの男子たちは、みんなとてつもなく勘が鈍いのだろうか。それとも、そういう事実があると知っていて、それでも鷹揚に構えていられるほど心が広いのだろうか?
そも、リムリムに告白したというHくんとて、いまだにグループ交際めいたナマっちょろいおつき合いで満足しているようだし……。

「……そういえば、確かきみのクラスに、同じ女の子に3回告白して3回玉砕した剛の者がいたよな?」
「Mでしょ? 3回じゃないよ。ついこの前も玉砕して、今のところ5戦全敗
「そのMくんがアタックしている美少女のAちゃん? だっけ? その子、彼がいるっていってたっけ?」
「いるよ」
「じゃあ、そのAちゃんの彼氏は、MくんがAちゃんにちょっかい出しているのを黙認しているのか?」
「黙認ていうかね、Mは知らないのよ、Aちゃんに彼氏がいるってこと。クラス全員そのこと知ってるんだけど、Mだけが知らないの」
「ナニ?」
「Mだけはね、Aちゃんがフリーだって思い込んでるわけ。でなきゃいくらなんでも5回も特攻しないよ」
「クラス全員が知っているのに、なぜMくんだけそんな肝心なことを知らないんだ?」
「さあ? 気づいたらいつの間にかそういう情況になってて、それ以来誰もMに真実をいえなくなっちゃったんじゃないの?」
「だったらきみが教えてやれ! このままじゃそのMくんはただのピエロだろ!」
「やだよー、そんなの。Mってちょっとアレなんだもん」
「アレって何だよ!?」
「ひがみっぽいっていうか、根に持つっていうか……粘着気質なところあるから、うっかり真実教えたりしたら逆恨みされかねないもん」
「それでいいのか、本当に!?」
「んー……ま、いいんじゃない? 真実を知らない間は、Mだって夢を見ていられるんだし」
「…………」

ひ、ひどい! ひどすぎる……!
この小娘のクラスはいったいどういう人間の集まりなんだあ!?