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妄想 2007/05/08
ウホッ!

学校から帰ってきたリムリムが、いつになく真っ赤な顔をしてリビングに現れた。
別に走って帰ってきたわけでもなかろうに、この勇者少女はなぜこんなに顔が赤いのか。まるで真冬の雪国の少女のようだ。
などと思っていると、いきなりその場に転がり、
「っきゃ〜〜〜〜っ! どうしよどうしよ!? どうしてわたしなワケ? ねえ、うれうれ、わたしどうしたらいいと思う!?」
とりあえずあやまれ。みんなにあやまれ
ごろごろじたばたする少女を冷ややかに一瞥し、ぼくは即答した。
だいたい、この少女はこれまでロクなことをしてこなかった。ここ最近は目にあまる行為はひかえているようだが、幼少期からの武勇伝には本当にこと欠かない。自分に似たタイプの生意気な後輩を階段の途中から蹴り落としたとか(まあ、わずか2、3段だったらしいが)、ムカつく男子を教室で引きずり倒して踏みつけたとか。
だからこの時も、きっと彼女が学校で何かトラブルでも引き起こしてきたのだと思ったぼくは、まずはとにかくあやまれといったのである。

だが、リムリムのハナシを聞いていると、どうもそういう、「彼女が加害者」系の話題ではないらしい。いったい何がいいたいのかさっぱりこちらには伝わらぬまま、「どうしよどうしよ!」と身体をくねくねさせている。それもなんだか嬉しそうに。

その後、さんざんもったいつけてリムリムがぼくに教えたところによると、要するにまあ、隣のクラスの男子に告られたということらしい。
とんだ物好きもいたものである

「ねえ、どうしよ? どう答えたらいいと思う?」
ふだんのリムリムは、どうやらクラスの女子よりも男子とつるんでいることが多いらしく、それでぼくやネムネムは、「この子はひょっとして、男の子にはまったく興味がないのではなかろうか?」などと余計な心配をしていたものだが、やはり色恋沙汰には慣れていないのか、見ているこちらが噴き出してしまいたくなるほどヘンに舞い上がっている。
まあ、相手がよほどアレなソレでもないかぎり、告白されて気分が悪かろうはずもないが、いつものリムリムは身近な男子をそういう対象として見たことがなかったようで、何と答えたらいいか本当に判らないでいるらしい。

がしかし、だからといって、「もしうれがわたしの立場だったらどう答える?」などと聞かれても、告白してきたのが男である時点で、同じ男であるぼくには「お断りだ!」と答えるしかないではないか。
「悪いが男であるぼくの意見は参考にならんだろう」
「いや、そういう意味じゃなくてさあ……ほら、たとえば田中ちゃんがこういうことで悩んでる時に頼りになる相談相手といえば、やっぱり荒岩主任でしょ?」
なぜここで彼女が『クッキングパパ』をたとえに持ち出してきたのかは不明だが、どちらにしろ的はずれであることに変わりはない。
「田中くんが荒岩主任に相談するのは同じ男だからだ。やはりここはリムリムと同じ女、人生の先輩として、ネムネムに意見を求めるべきだろうな」
「え〜?」
なぜかひどくイヤそうな声をあげるリムリム。
ふたりの間にいったい何が?

「だいたい、女の子が女性ではなく男性に恋の悩みを相談するというのは、たいていの場合、実はその男性が本命だった、というフラグが立っている場合が多いのではないか?」
「フラグって何? 旗?」
死ね
……などと痛烈に突き放したりはしなかったが、結局のところ、ぼくは是とも非ともアドバイスしなかった。その男の子への返事はあしたするそうだが、そんなことよりぼくは、こっそりテーブルの下でメールをぶち、この一件をネムネムに報告するほうが忙しかったのである。

とりあえず、ふたりでなまあたたかく見守ることにする。