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妄想 2006/05/07
リベンジの時来る!

田舎で大自然に触れたからというわけでもないのだろうが、ネムネムがいきなりガーデニングに目醒めた。
といっても、ウチにあるのは玄関前のコンクリートで舗装された駐車スペースくらいのもので、土をいじれる庭などはない。なので、そのへんの店で買ってきた花だの種だのを小さなポットに植えて、せめて玄関先だけでも華やかにしようという計画らしい。
「わたしも何か植えたいんだけどー」
吉祥寺のユザワヤで買い物中、リムリムがそんなことをいい出した。
「綺麗な花がいいなー。千日紅とかゼラニウムとか」
「あなたはこういうのにしときなさい」
そういってネムネムがリムリムに選んでやったのは、オレガノやらレモンバームやらのハーブ系だった。
「え〜? 地味〜」
「地味じゃなくて清楚っていいなさい。今のあなたに一番欠けてるものよ」
「それじゃそういうネムネムは何植えるのよ〜?」
「わたしはこれよ」
「四季なりイチゴ?」
「今年こそ勝つわ、わたし――」
なのめならぬ決意をその瞳にたぎらせ、レジへと向かうネムネム。
ぼくはその背中に、復讐に生きる女の凄みを見た気がした。

ネムネムが育てる植物は実を結ばない。
別にネムネムの手から謎の毒素や放射線が出ているわけではなく、ただ単に、世話をしないとか運が悪いとか、そういった理由で実を結ばないのである。
オールインワンのキットで買ってきたワイルドベリーは発芽すらしなかった。
ブルーベリーの苗は鉢に植え替えるのを面倒がっている間に枯らした。
コケモモの苔玉もすでに干からびた。
ネムネムという女性の歩んできた道には、かくも多くの屍が横たわっている。

おそらくネムネムは、ワイルドベリーやブルーベリーの仇をストロベリーで取ろうとしているのだろう。
ぼくはこの先、彼女の戦いを静かに見守らねばなるまい。

ちなみに、ぼくはルッコラを育てることにした。何となくテキトーに水だけやっていれば育ちそうだし、収穫期に実がならなかったといって敗北感にさいなまれることもない。ちょろりと伸びればそれでぼくの勝ち。
ぼくは負ける戦いはしない主義だ。