<< 妄想 2005/10/01 | main | 妄想 2005/10/04 >>
 
Calendar
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< March 2016 >>
Category
Archives
Web拍手

↑クリックすると↑
web拍手が送れます
『Mi:2』日記06 2005/10/02
前回の話はこちら。以下、続き。

その日――Kさんからの電話を受けたのは7月の末だった。
だが、『KOF MAXIMUM IMPACT』の発売日は8月12日である。よくよく考えてみれば、発売を半月後に控えたソフトのシナリオを、今から修正できるとは思えない。
そのへんを疑問に思って、ぼくはおずおずと尋ねてみた。
「あの……Kさん、『Mi』の発売って、来月ですよね?」
「ええ」
「シナリオって……ソレのシナリオですか?」
「いえ、続編のほうのです」
「は?」
驚いたことに、Kさんがぼくのところに持ち込んできたのは、まだ発売していないソフトの続編の仕事だったのだ。
「そ、その……まだ第1弾も発売されてないのに、もう第2弾の発売が決定してるんですか、『Mi』?」
「正式にじゃありませんけど、ま、出したいなぁと。……何しろこのゲーム、シナリオ面がめっちゃ弱いんですわ〜」
Kさんが困ったようにいうのを聞いて、ぼくはさらに困った。

もし『Mi』の売り上げが悪かったら、もちろん続編は出ないということになる。そうなれば、今ここでわざわざ大阪に行っても、すべてが無駄になってしまう。
なんだか肩すかしを食らった気がしたが、ともあれ、ぼくはそこでひとつの妥協案を提示した。
「だったら9月でどうです?」
「9月ですか?」
「仕事を引き受けるかどうか、ぼくも実際に『Mi』で遊んでから決めたいし、9月ならある程度売り上げも読めて、正式に続編が行けるかどうか決まってるでしょ?」
「ですねえ」
「今年のゲームショウ、ぼくビジネスデーに行くつもりなんで、その時にどうですか?」
「ああ、だったらウチも、その日に開発の人間とか連れて行けますんで、そらいいかもしれませんねえ。どうせなら顔合わせていろいろ話したほうがいいでしょうし」
「じゃ、そういうことにしましょう」
いつもゲームショウの入場券の手配をしてくれるファミ通文庫編集部に感謝しつつ、ぼくは電話を切った。

実際、この仕事を引き受けるかどうかはまだ判らなかった。『Mi』の成績のこともあるし、シナリオ面をどこまでぼくに任せてもらえるかという点も問題だ。
前述の某こふの時は――特に1本目は――シナリオとクレジットされていながら、ぼくに話を考える自由はまったくあたえられていなかった。あんな客寄せにもならないパンダみたいな思いをするのはもうごめんだ。
それに、生臭いハナシだが、作業に見合うギャラが確保してもらえるのかどうかも気になる。
ぼくはSNKの社員じゃないわけだから、開発中、ずっとそのゲームの製作に拘束されるわけではないが、やるとしたら最初から最後まで可能なかぎりかかわりたいと思っているし、そうなれば、作業量的にもかなりのものになるだろう。前に受けた仕事の時は、費用対効果の面でちょっと納得がいかなかった。
だから、今度の話も、かならず引き受けられる仕事だとはかぎらない。

そう判っていながら、気づくとぼくは、旧SNK関連のムックを読み返し始めていた。
やる気だけはすでに「ぎゅい〜ん!」だった。

つづく。