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妄想 2012/03/31
虚構は虚構。

ファンタジーであれ時代劇であれ現代劇であれ、ぼくは食事のシーンを書かないではいられないたちの人間である。特に『彼女は戦争妖精』の時は、登場人物の大半が食いしん坊だったこともあって、そっち方面にはかなりこだわっていた。
でまあ、現代劇はいい。食べ物を描写するのがもっとも楽なジャンルだからである。
で、時代劇もまあまあいい。江戸時代の人間がけっこうおいしいものに囲まれていたというのは、池波正太郎を読んでいればすぐに判ることだし、中国モノの場合も、宋代明代あたりですでにすごくバリエーション豊富な食生活を送っていたから、それをアレンジするだけでいい。

問題はファンタジーである。みんなもう、肉を焼いたものを食ってるイメージしかない。チキンorポークorビーフ、でなければラムか、とにかく描写しようとしても、たいていの料理が、「○○のロースト」とか「○○のソテー」になってしまう。実際にはほかにもいろいろと食べていたはずなのだが、中世ヨーロッパの一般庶民の食事は総じて(描写してみると)貧相で、小説に出しにくいのである。
たとえば、「野菜クズときのうのパンの残りを細かく刻んでいっしょくたに煮込んだスープ」なんていうのは、当時の人たちがよく食べていたメジャーなメニューらしいのだが、こんなところにリアリティを求めてそのまま描写したって誰もしあわせにはならない。なので、結局は「野菜のスープ」にするしかない。
あと、ヨーロッパの食べ物や飲み物には地名由来のものが多くて、それも使いづらい。ソーセージはいいけどウインナーは駄目、ハンバーガーも駄目、ローストビーフのおとものヨークシャープディングも駄目。スコッチ、コニャック、シャンパン、マディラみたいな酒の名前も、何となくそのまま使うのは抵抗がある。

というような数々の足枷をつけたまま、どうにかおいしそうな食事シーンを描くべく、四苦八苦するぼく。