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妄想 2007/11/13
続・クッキング勇者少女。

おそらくまだスポーツドリンクの匂いが残っているであろうペットボトルに生クリームをそそぎ、あらためてしゃかしゃかと振り始めたリムリム。さすがに今度はきちんと中身も振れているようで、白かったはずのクリームが次第に黄色くなっていく。
「あ、水が出てきた」
ペットボトルを照明にかざし、脂肪分の塊ができていることを確認していたリムリムが、底のほうに溜まった液体を見て水といっていたが、それはたぶん水ではなくバターミルクというヤツだ。ヨーグルトの上に溜まるホエーとかと同じように、これでけっこう栄養があるらしい。
だが、そんな知識などまったくないらしいリムリムは、固形分のほうにしか興味がないのか、バターミルクを男らしく流しに捨てている。いつも流しを掃除しているのは誰だと思っているのか、この小娘は。

その後もリムリムは、しばらくしゃかしゃか振ってはふたをはずして中を覗き込み、
「ねえ、もういいかな?」
と、ぼくに意見を求める。自分で作れると見得を切ったくせになぜぼくに聞くのか。
「そろそろいいかな? うん、いいよね」
ぼくがテキトーにはぐらかし続けていると、とうとうボトルを振る作業に飽きたのか、リムリムは自分を納得させるみたいにそういって、マヨネーズよろしくボトルの口からねりねりと自作バターをひねり出し始めた。
保存には、さっきまで使っていたジャムの空き瓶、それもまたロクに洗わず水気も拭き取ることなく、ほとんどそのまま使うつもりらしい。
それ以前に、取り出した固形分を布か何かで漉してさらに水分を抜き、よく練っておかなければ、長期保存も無理だしぽろぽろして塗りにくいし、とてもバターと呼べるような状態にはならないだろうに、この少女はその作業もはぶいている。
友達から聞かなかったのか、それともすぽんと忘れたのかは判らないが、いかにもリムリムらしい詰めの甘さだ。

「よーし、あしたはこれでパン食べるわよ!」
そういって、少女はふたを閉めた瓶を冷蔵庫にしまった。
少女はもうひとつ大事なことを忘れているようだが、きみが一応カタチだけは何とか作り上げたものは無塩バターだ。焼き立てのパンに塗っても、塩気がまるでないのでたぶんそんなにおいしくないと思う。