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妄想 2012/08/24
無頼だな。

今夜の金曜プレステージは『剣客商売』。
3代目秋山小兵衛の藤田まことが亡くなって以来、新作が作られなくなっていたわけだが、このたびめでたく復活とあいなった。
まあ、池波作品を映像化する場合、大前提として、「原作にないエピソードはやらない」というのがあるので、多少の翻案はあるにせよ、ストーリー的にはもはやお馴染みの「女武芸者」+「御老中毒殺」。というわけで、おのずと注目すべきはそのキャスティングということになる。

今回のスペシャル版、藤田まことの跡を継いで主役の小兵衛を演じるのは北大路欣也。これまでのドラマ版や原作とも違った、なかなか無頼な小兵衛になっている。何しろ碁敵の小川宗哲(演じるは古谷一行)と、ぞぶぞぶスイカをかじりながら「宗哲」、「小兵衛」と呼び合う仲。これはワイルド。
で、メインヒロインともいうべき美冬どのには杏。超でけえ。個人的にはどうしても大路恵美版、もしくは寺島しのぶ版とくらべてしまうのだが、杏は寺島版よりふてぶてしさはないものの、大路版の初々しさもない。代わりにあるのは天然のがさつさ。「田沼さまのお嬢さまっていうけど、やっぱり庶民育ちはねえ……」とか女中たちに陰口を叩かれそうながさつさ。そしてつねに眉根を寄せたような顔。
何より問題なのは、致命的に殺陣が下手ということだろう。木刀や竹刀を振るのに慣れていないのは仕方ないとしても、デカい図体をしているのに木刀に振り回され、つねに腰が引けたように見えるのである。歴女を名乗るのなら、もうちょいそこをどうにかしてほしかった。父親はあんなにカッコいい殺陣を見せるのになあ。
そして大治郎役は斉藤工。正直、原作でも序盤の大治郎は小兵衛の引き立て役みたいなもので、小さいのに強くて抜け目がなく世間の裏の面や遊びごとにも通じている超老人・小兵衛に対し、大治郎は、デカいがまだ未熟、生真面目で気が利かない朴念仁として描かれている。そういうことを考えると、斉藤版の大治郎は、もしかするとこれまでで一番合っているのかもしれない。加藤剛はもはや若者って感じではなかったし、渡部篤郎は裏に何かを隠して飄々とふるまっている感じがあった。山口馬木也は、不器用なところはいいが、ヘンに美冬どのを意識しすぎてよくも悪くもふつうの男になってしまっていたし。
だが、今回のメインキャストで個人的に一番アリだなと思ったのは、貫地谷しほりのおはるだった。畑から掘ってきたばかりのダイコンだとかゴボウだとか、そんな表現をされてしまう田舎の可愛らしい少女役が――『風林火山』でもそうだったが――妙に合っている。美冬どのに対してヤキモチを焼く姿もよろしい。
そのほか、國村隼のいかにも汚職役人らしい田沼意次、杉さまジュニアの弥七親分、前述した古谷一行と、脇役もなかなかいい感じ。キャスト的に連ドラでやるにはちょい金がかかりそうな気もするが、できればこのままシリーズ化してもらいたいものである。