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妄想 2014/06/26
ウオー!

『仮面ライダー バトライド・ウォー供戮鯒磴辰討た。いわゆるライダー無双。この内容で作るんだったら、どうして最初からコーエーテクモに発注しないんだという疑問は前作の頃からあったわけだが、著者校の合間を縫ってとにかくやってみよう。

で、またもやこっそりと双子更新、第4回。
『ROF』に『MI』の楽曲がないのが納得いかぬ。


       ――〈04〉――


「――よう、ソワレ!」
 途中で合流したノエルはやけに嬉しそうだった。
「まだ愛車が入院中だってのにご機嫌だな、ノエル」
 この前〈ブラーズ〉の連中からいただいた悪趣味なシボレー・インパラは、カルロスのガレージでばらばらに分解され、パーツとして使えるものはすべて買い取ってもらったが、それでもノエルの愛車の修理代にはとても足りなかった。そのわりにノエルの表情が明るいのが、ソワレにはいささか奇異に思える。
「いやあ、カルロスにかけ合ったら、少しは修理代まけてくれるっていわれてさ」
 頭をかきながらノエルがいう。
「少しっていったって、ホントに少しだろ?」
“ファットマン”のニックネームを持つ〈サンズ・オブ・フェイト〉の最年長カルロスは、でっぷりとした見た目に反して金のことには細かい。たとえチームの弟分が相手でも、取るべきものは取るというのがポリシーだという。事実、この前の一件でレッカー車を借りた時は、ソワレたちもあとできっちりレンタル料を支払わされた。
「たとえほんの少しでもいいんだよ! まけてもらえることにゃ変わりねえんだから!」
「ンなこといって油断してると、あとでめちゃくちゃな請求書が届くかもしれねえぞ?」
「大丈夫大丈夫、オレもそうバカじゃねえからな、先に見積もり出してもらったんだよ。カルロスも、修理すんのにこれ以上は金は取らねェってはっきりといったしな」
「甘いって。あのケチなカルロスがそこまで断言したってのがかえって怪しいだろ? たとえばおまえさ、修理がすむまでカルロスのとこのガレージにクルマ置かせてもらってるよな?」
「うん」
「実は1日いくらであそこの使用料がカウントされててよ、修理代のほかに請求書が出てくるとか、そんなことになったらどうする?」
「え!? じょ、冗談よせよ! シャレになんねーって! いかにもカルロスがやりそうなことじゃねえかよ、それ!?」
「だろ? 一度きちんと確認したほうがいいんじゃねえ?」
「こ、怖くて聞けるかよ! 第一、もしホントにそんなカラクリになってたとしても、オレのクルマ、もう半分バラしてんだぜ? いまさらよそへ移動させられねえって!」
「だったら1日でも早く修理が終わることを祈るしかねえんじゃねえの?」
「判ってるよ、そんなこと! ほら、行くぞ、ソワレ!」
 のんびり歩いていたソワレの腕を乱暴に引っ掴み、ノエルは歩調を速めた。
「――今夜のファイト、オレ、おまえにあり金全部張るからよ、絶対に勝てよな!」
「責任重大だな」
 ノエルの鼻息の荒さに苦笑しながら、ソワレは物好きたちが集まるサウンドビーチへ向かった。
 アルバのようにきちんとしたところでバイトしているわけではないが、ストリートファイトで日銭を稼いでいるソワレも、“職場”には定期的に顔を出さなければならない。すなわち、腕自慢のファイターたちが集まる場所が、ソワレにとっての仕事場であった。

      ◆◇◆◇◆

 ふつうの格闘技ならば、闘いの舞台はおおむねリングになる。
 だが、ストリートファイトではそうはいかない。
 どこかの店でギャラリーを集めてファイトするなら、足元はフローリングやリノリウムの硬い床になるだろうし、文字通りの路上でならアスファルト、場合によってはさらに硬いコンクリートになる。下手に投げられれば一撃でKOされかねないダメージを受けることもあるだろう。
 逆に、サウンドビーチのような砂浜では、投げを食らうことはさして怖くはないが、その代わり、砂に足を取られてふだん通りの動きをするのが難しくなる。
 一長一短ではあったが、ソワレの場合、どこで闘ってもさしたる差はないと思っている。
 相手に掴まれて無様に投げられるつもりはなかったし、砂地に足を取られて思うように動けなくなるようなこともない。そんなやわな鍛え方はしていないという自負が、今のソワレにはあった。
 それよりはむしろ、ギャラリーの数のほうがソワレには重要な要素だった。目立つこと、喝采を浴びることが好きなソワレの場合、ギャラリーの数や盛り上がりは闘う上でのモチベーションに直結するのである。
「――おっ! ピンクのビキニのカワイコちゃん発見! オレって今夜もラッキー!」
 ビーチに生えた椰子の木へと器用によじ登り、ソワレはギャラリーの中の美女たちに目を輝かせた。
「こら! 見るところが違うだろ、ソワレ!」
「へへっ、判ってるって」
 ノエルにたしなめられ、ソワレはあらためて人垣の内側でおこなわれている闘いに目を向けた。
 稀代の梟雄ギース・ハワードによって、大規模な異種格闘技トーナメント――“ザ・キング・オブ・ファイターズ”が初めて開催された時から、このサウスタウンは、ストリートファイトで名を上げようとする者にとってのメッカとなった。
 交差点、駅の構内、ビーチ、公園、高架下の駐車場――ある程度の広さがあり、ギャラリーが集まりやすい場所であれば、たちまちそこは真剣勝負のステージとなる。熱いファイトをショーのひとつと位置づけたバーやレストランも、このサウスタウンでは決して珍しい存在ではない。ストリートファイトがこれほどさかんにおこなわれている街は、おそらく世界でもここだけだろう。
 この街の住人は、闘う立場であれ観戦する立場であれ、ストリートファイトの楽しみ方というものを心得ていたし、よその街でならただの乱暴者といわれるような人間でも、この街でなら、富と栄光をおのれの拳ひとつで掴むことも可能だった。
 しかし、だからといって、世界屈指のファイターたちばかりがこの街に集まってくるわけではない。
「どうだ、ソワレ?」
「……これぞって野郎はいねえな」
 この街でのファイトにはつねに賭けがともなう。それがギャラリーたちをよりヒートアップさせる要因のひとつでもあったが、賭けが成立するには、闘うふたりの力がある程度は均衡していなければならない。最初からワンサイドゲームになることが判っている闘いでは、そもそも賭けが成り立たないのである。
 だが、ソワレが見たところ、今夜のサウンドビーチにソワレの実力にふさわしいと思われる対戦相手は見当たらなかった。このままでは、ソワレに極端に低いオッズがつくような賭けしか成立しない。
「どうする? 河岸を変えてみるか?」
 椰子の木から降りてきたソワレにノエルが尋ねる。
 あちこちでストリートファイトがおこなわれているといっても、やはりその場所ごとにレベルのようなものは自然とできてくる。解放的なこのサウンドビーチでは、街の外からやってきた新顔が飛び入りで参加することも許されているが、その反面、レベル的にはかならずしもトップクラスとはいいがたい。勝者が手にする賞金もそれなりだったし、賭けで動く金もたかが知れている。
 ソワレとノエルがあれこれと相談をしているところに、渋い表情をしたギャラガーがジェイたちを連れてやってきた。
「――おい、ソワレ」
「よぉ、来てたのか」
「ついさっきな。……それよりおまえ、シーモアに会ったか?」
「シーモア?」
「どうやらおまえのことを捜してるらしいぜ」
「ってか、誰だよ、シーモアって?」
 きょとんとしてソワレが聞き返すと、ギャラガーはノエルと顔を見合わせ、大袈裟に天を振り仰いだ。
「……シーモアってのは〈ブラーズ〉のリーダーだよ」
「〈ブラーズ〉の連中が“ファミリー”の予備軍ていわれてんのは、シーモアの兄貴だか叔父貴が、“ファミリー”の中でそこそこのポジションにいるかららしいぜ」
「へえ。……で、そいつがどうしてオレのことを捜してるんだ?」
「おまえと〈ブラーズ〉のつながりっていったら、この前のあの一件しかないだろうが」
 ギャラガーはノエルの肩を叩き、その耳もとでささやいた。
「……聞いた話じゃ、シーモアはボクサー崩れでなかなかやるらしい。たぶん、この前あの店に殴り込んだのがおまえだってことを突き止めて、仲間の仇を討つ気なんだろう」
「それをいうならこっちはノエルの愛車の仇を討っただけだぜ?」
「そういう理屈が通じる相手じゃねェだろ? こういうことになるから、ハナっからおれはやめとけって――」
 くどくどと続くはずだったギャラガーの言葉が途切れたことに気づき、ソワレは背後を振り返った。
 押し黙ってしまったギャラガーの視線の先を追うと、あたりの人間よりも頭ひとつ大きな痩身の男がじっとソワレを睨みつけている。その両隣では、ソワレにも見覚えのあるスキンヘッドやオジー・オズボーンが、男に何ごとか話しかけていた。
「あいつか?」
「……ああ」
 かすかにうなずいたギャラガーは、ソワレの肩に置いた手に力を込めた。
「判ってるよな、ソワレ? 自重しろよ」
「そいつは向こうにいってくれよ。オレはちゃんとここのルールをわきまえてるぜ」
 ソワレは唇を吊り上げ、人混みの向こうの長身を見据えた。