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妄想 2014/07/03
きょうのアニポケ。

最近のアニメスタッフは、暴走中のメガルカリオの作画に異様に力を入れているように見えるのだが、何かそうしなければ死んでしまうような不治の病にでも罹患しているのか。
まあ、個人的には作画レベルが高水準で安定しているので文句はないのだが、メガクチートが今回だけの登場というのはちょいと哀しい。OPにも出てるのにな。
それでふと思い出したが、そろそろイーブイカップが開催されるのだった。今からエントリーできるだろうか?

きのうのジェーンさん。
何だかリズボンが今度はあのFBIとくっつきそうで嫌な予感。あの金持ちはどうしたんだよ!
この状況で本当にリグズビーとヴァンペルトがいなくなるんだとしたら嫌だな。

ということとは関係なく、第5回。半分折り返し。


       ――〈05〉――


 サウスタウンではギャングたちの抗争など日常茶飯事だったが、その一方で、しがらみに捕らわれることなくストリートファイトを楽しもうという気風もまた、この街には今も根強く残っている。
 これまでいくつものギャングたちが、多額の現金が動くストリートファイトを重要な資金源にしようとこころみてきたが、ギャングの介入が八百長を生むことを嫌ったファイターたちの激しい抵抗に遭い、ことごとく失敗してきた。唯一それに成功したのが、あとにも先にもあのハワード・コネクションだけだったという事実を考えれば、この街に集まってくる男たちがいかに気骨のある連中揃いであるかが判るだろう。
 この街には、ギャングですら無視することのできない“法”がある。
 もしここで乱闘騒ぎを起こして熱い闘いに水を差すような真似などしようものなら、ギャングだろうと何だろうと、ただですむはずはない。純粋にストリートファイトを楽しむためにやってきたギャラリーたちの反感を買うだけでなく、殺気立った“出場者”たちに囲まれて袋叩きにされるという可能性すらあった。
 もちろんソワレはそのことをよく承知している。だから、あのシーモアという男がどんなに挑発してきても相手になるまいと心に決めていた。だがそれは、決して周りの連中に袋叩きにされることを恐れたのではなく、この場でのルールを破ることによって、この心躍る夜ごとの闘いから永遠に追放されてしまうことを恐れたのである。
「お、おい」
 ノエルがわずかに声を震わせてソワレの脇腹を小突いた。
 スキンヘッドたちを引き連れたシーモアが、傍若無人にギャラリーたちをかき分けながらこちらへとやってくる。
 シーモアの視線を真っ向から受け止め、ソワレは唇を吊り上げた。
「堂々としてろよ、ノエル。挨拶もすんでねェうちから逃げ帰る算段をしてたんじゃ、フェイトたちに恥をかかせることになるぜ」
「け、けどよ――」
「向こうがあれこれ難癖つけてくるようなら、その時はオレが白黒はっきりつけてやるさ」
 そう呟く間も、ソワレはシーモアを冷静に観察している。
 身長はソワレよりも高い。おそらく190センチ以上はあるだろう。痩せ型だが貧弱というイメージはなかった。何よりも、ボクサーを目指していたというだけあってリーチが長い。まともに殴り合えば、ソワレでもその間合いに入ることは難しいだろう。
「――〈サンズ・オブ・フェイト〉のソワレ・メイラか?」
 いつの間にかソワレの視線は斜め上を見ていた。冷徹に自分を見下ろすシーモアのまなざしに、ソワレはうっすらと微笑みを浮かべてうなずき返した。
「発音はイマイチだが、ま、たぶんアンタがいってるソワレってのはオレのことだろうな」
「……オレは〈ブラーズ〉のシーモアだ」
「ああ。よーく知ってるぜ」
 ついさっきまで名前まで知らなかったくせに、ソワレは平然とそううそぶいた。
「で、そのミスター・シーモアがオレに何か用かい?」
「仲間が世話になったらしいじゃないか」
「礼にゃおよばねえェよ。……先に世話になったのはこっちだからな」
 自分たちはただやり返しただけだと言外にいい放ち、ソワレはシーモアの言葉を待った。
「……くだらんいざこざで潰し合うのは、おたがいに得策とはいえない。そうは思わないか?」
「そうだな」
「だが、だからといってこのままにしておくわけにもいかないよな?」
 ギャラリーたちの歓声を聞きながら、シーモアは淡々といった。もっとも、ときおり眉間に走る深いしわが、彼の胸中がおだやかならざることを物語っている。できることならこの場でソワレたちを叩きのめしたい――そんな怒りと苛立ちを必死に押さえているのが、むしろおだやかとさえいえるシーモアの口調に表れているようだった。
「――サシでケリをつけようぜ」
 いかに〈ブラーズ〉が“ファミリー”の下部組織とはいえ、〈サンズ・オブ・フェイト〉と真正面から激突するほどの力はない。ましてトラブルの発端は、メンバーがクルマのパーツを盗んだ盗まれたといった程度のいざこざである。シーモアたちが泣きついたとしても、“ファミリー”が動いてくれるとはかぎらない。
 対するソワレたちも、このトラブルが拡大して、最終的にフェイトたちに迷惑をかけてしまうことなど望んではいない。両組織が全面的に激突する事態を回避できるシーモアの提案は、まさに渡りに舟だった。
「オレとアンタで――ってことかい?」
「ああ。オレとおまえ、どっちが勝とうと、この一件はそれで手打ちにする。……それでどうだ?」
「別にオレはかまわないぜ」
 ソワレは即答した。ギャラガーが何かいおうとしていたようだったが、口をはさむ隙すらなかった。
「んで、場所や日時はどうする?」
「あくまで一対一の勝負だ。余計な横槍が入ったり遺恨が残る結果になってもつまらないからな」
 しばらく考え込んだあと、シーモアは続けた。
「……今度の土曜、サウスタウンブリッジのファイトで決着をつけるのはどうだ?」
「いいのか? あそこじゃ週末にゃカメラが入るんだぜ? 街中に恥をさらすかもしれないって考えないのかい?」
「カメラの前でイカサマをやるヤツはいないだろう」
「そいつはオレのセリフなんだがね」
 サウスタウンブリッジは、悪名高きかのギースタワーとイーストアイランドとをつなぐ長大な鉄橋である。その鉄橋の、イーストアイランド側で週末ごとにおこなわれるストリートファイトは、集まってくるファイターたちの実力でいえばこの街でもトップクラスで、ギャラリーも多く、しばしばケーブルテレビの中継が入るほどの人気を誇っている。
 そこで闘うということになれば、確かにおたがいに迂闊な小細工はできない。無関係のギャラリーやカメラの前で、正々堂々と決着をつけることができるだろう。
「時間までに会場に現れなければ負けを認めたと受け取るが、それでいいな?」
「だからよ、そいつもオレのセリフだってーの。……自慢じゃないがこのソワレさまはな、勝負が怖くて敵に背を向けたことなんざ、ただの一度もねーんだよ!」
 無言でベルトループを引っ張っているギャラガーの手を払いのけ、ソワレはシーモアに右手を差し出した。
「ってことで、土曜の夜はおたがいクリーンにいこうぜ?」
「……ああ」
 ソワレの手を握り返したシーモアは、最後までおだやかな口調を崩すことなく、スキンヘッドたちを引き連れて去っていった。
「おい、ソワレ!」
 シーモアたちがいなくなると、それまで蚊帳の外に置かれていたギャラガーが眉を吊り上げてわめき出した。
「おまえ、どうしてそういつも自分勝手なんだ!?」
「別にいいだろ? それこそオレが勝手にあの野郎とやり合うだけなんだからさ」
「おまえがそういうつもりでいたとしても、周りはそう見ないんだよ!」
「そうか……そういやそうだな」
 安っぽいTシャツの襟ぐりを指で広げながら、ノエルは溜息混じりにうなずいた。
「ソワレがシーモアと闘うってことは、〈サンズ・オブ・フェイト〉と〈ブラーズ〉の代理戦争ってことだもんなあ」
「大袈裟なこというなよ。オレにゃフェイトの名代なんてまだまだ無理だって。兄貴ならともかく――」
「だから! おまえがどう思うかじゃない、街の人間がどう思うかだ! 今度のファイトでおまえがシーモアに負けたら、たぶんシーモアたちは、大喜びで〈ブラーズ〉が〈サンズ・オブ・フェイト〉に勝ったと喧伝するぞ?」
「ちょっと待てよ、もちろん負けるつもりはねえけどさ、たとえオレが負けたとしたって、そいつはオレ個人の負けであって、グループやフェイトが負けたってわけじゃ――」
「世の中そんなに甘くないんだよ、ソワレ……」
 ギャラガーは額に手を当ててかぶりを振った。
「……シーモアだって、さすがにフェイトとタイマンを張ったんじゃ勝ち目がないって判ってるだろうからな。だから、フェイトよりくみしやすいおまえにオレたちの看板背負わせて、その上でギャラリーの前で叩きのめそうってんだろ? それがシーモアの狙いだよ、たぶんな」
「おまえ……案外アタマいいんだな」
「感心してる場合か! おまえが考えナシなだけなんだよ! 少しはアルバを見習え!」
「お、おい、ギャラガー……そんな、ここでソワレ相手にキレたって仕方ねえだろ?」
 声を荒げるギャラガーをノエルがなだめる。そもそものことの起こりはノエルの愛車だったわけだから、ノエルも少なからず責任を感じているのだろう。
 ソワレはノエルとギャラガーの肩を軽く叩いた。
「ふたりとも、そう気にすんなって! 要はオレが勝てばいいんだろ?」
「気軽にいうなよ……シーモアは実力がなくてプロになれなかったんじゃない、素行が悪くてプロになれなかっただけなんだぞ? この前おまえが相手にしたような、酒とタバコとクスリで年中ラリってるような連中とはわけが違うんだ」
「だから面白いんじゃねーか。ヤツがいかにも弱そうな野郎だったら、そもそもあんな提案呑んだりしねえよ」
 こともなげに答えたソワレには、自分がグループの看板を背負うことになったという責任感のようなものはまるでなかった。
 ファイトを楽しむ上で必要のないものは極力かかえ込まない――あるいはかかえ込んでいると意識しないのが、ソワレ・メイラのやり方だった。