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妄想 2008/03/10
ゴギャン!

実は先週から、リムリムの右手の親指には包帯が巻かれている。
どうやらどこかでひどい突き指をやったらしく、青黒く腫れて、しばらく通院することになったのである。
まあ、もともとペンの持ち方も箸の持ち方もてんでなっちゃいない小娘なので、いまさら親指が固定されていたからといってそれらのあつかいに困るわけではないのだが、年頃の女子は女子なりに、それでは困る事態もあるのである。

「あのさー、うれうれ」
「何かね?」
「お医者さんがさー、お風呂に入っても右手はお湯につけるなっていうんだよね」
「さもあろう。ビニール袋でコーティングして入るといいのではないか?」
「いや、ゴム手袋はめて、輪ゴムで手首のとこ押さえれば濡らさずにすむとは思うんだけどさ」
「では何かね? 見ての通り、ぼくはカースメーカーを育てるのに忙しいのだ。でないとこの先の強烈なボスと真正面から殴り合わねば――」
「いや、『世界樹』は置いといて」
と、この小娘、食後のぼくのお楽しみを邪魔しやがる。いったい何なのかとあらためて話を聞いてみると、この右手では髪が洗えないという。
「しかしきみ、きのうも頭を洗っていなかったか? ぼくが帰ってきた時、髪が濡れていたように見えたのだが」
「ああ、あれはネムネムに洗ってもらったのよ。でもほら、きょうは仕事でネムネムいないし」
「だから?」
「だからさー、きょうはうれうれが洗ってよー。わたしがちゃんとバスタブの掃除とかするからさー」
「…………」
しばし眉間に指を押し当てて黙考したあと、ぼくはリムリムをそこに座らせた。
「リムリムや」
「ん? なになに?」
「きみはバカだからまだ判っていないのかもしれないが、世間一般の年頃の少女というものはね、ふつうは男の人といっしょに入浴したりはしないものだよ。もし例外があるとしたら、年端も行かないくらいの弟を風呂に入れてやるとか、せいぜいその程度だ。……だいたい、きみは温泉に行って男湯に入るかね?」
「そりゃあ女湯だけどさあ……でも別にいいじゃん、家のお風呂なんだし。ていうか、うれうれはお風呂入んなくていいよ。ただ、わたしがお風呂入ってる時に呼ぶからさ、そしたら髪洗ってくれればいいの」
「…………」
ぼくがいいたいのは、ぼくが入浴するかどうかということではなく、年頃の少女なら年頃の少女らしい恥じらいを身につけてほしいということなのだが、どうもこの少女にはそれが伝わらない。