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妄想 2008/03/22
月を見るたび思い出せ!

リムリムとふたり、夜道を歩いて家に向かう。
最近になって初めてポンデリングを食べたというリムリムは、そのうまさをさかんに主張していた。ポンデライオンの登場とともに、すでにあのもっちりとした食感をともなううまさを知っていたぼくからすれば、いまさら何をかいわんやというところだが、どうやらリムリムにとっては世紀の大発見であるらしい。
「そんなことより、勉強のほうは大丈夫なのかね?」
「え? ああ、大丈夫大丈夫」
ぜんぜん大丈夫ではない時の常套句を口にするリムリム。
これももしかするといまさらなのかもしれないが、リムリムもようやく受験を見据えてこの春から塾に通うことになった。聞けば、クラスのほぼ全員が何らかの進学塾に通っているという話で、そんな激しい競争の中、特に何もしてこなかったリムリムが、よくもまあこれまで落ちこぼれなかったものだと、ぼくなどは感心すらしている。
よもや「みんなが行ってるからわたしも〜」などと流行りモノに群がるガキっぽい理論で塾に行くことを決めたわけではないとは思うのだが、そうではないといいきれないのがリムリムクオリティ。

「うわ!?」
女子大の前を、すでに咲き始めていた桜を見上げながら歩いていたリムリムが、不意に驚きの声をあげる。
「どうかしたのかね?」
「ほら、あれ!」
「あの月が何か?」
真っ赤だよ、真っ赤!」
赤い月というのを生まれて初めて見たと、その異様さに軽く怯えるリムリム。世間知らずな上に臆病な小娘である。……まあ、赤い月ごときで怯えた原因のひとつには、暗い道中、ぼくがヒサルキ(という都市伝説)の話を思わせぶりに語って恐怖感をあおっていたせいもあるが。

次の週末にはおそらく桜は満開になっているだろう。
土日には春期講習がないというから、もし時間が合えば、3人で花見に行くのも悪くない。