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妄想 2008/06/03
人間観察。

きのうの某レストランでのこと。
ぼくとリムリムが向かい合って座ったテーブルの両サイドには、それぞれ年配の女性客と30代ほどの女性客(どちらも連れナシ)がそれぞれ陣取っていた。

食後、エレベーターで地階まで降りてJRの改札に向かっていた時、リムリムがふと思い出したように、
「そういえばさー、わたしの左隣にさー、おばあちゃんのお客さんがいたじゃん?」
「ああ、いたね」
「あの人魔女っぽくない?」
リムリムいわく、肌が青白く、鼻が高く、爪が長く、ワインを飲んでいたので、魔女みたいだと思ったそうだ。彼女の判断基準にしたがえば、爪を磨いている欧米人の老婆はほとんど魔女だな。

「しかし、それをいうならきみの右側にいた女性客のほうがよほどすごかったが」
「え? そんな人いた?」
「いた。きみがまったく見ていなかっただけで」
リムリムというのは、いったん気になり出したものに対してはしつこいくらいにガン見する。もちろん、それが人であってもだ。いつかヤンキー相手にこれをやらかしてトラブルに巻き込まれるのではないかとはらはらしているのだが、この時も彼女は、左隣の魔女風の女性客をガン見し続けていて、そのために逆サイドにいた女性客にはほとんど注意が行っていなかった。
「どんな人だっけ?」
「眼鏡をかけた20代後半から30代なかばといった感じの人だな。よくいえば素朴、悪くいえば地味な恰好だったが、問題はファッションではない」
「それじゃ何よ?」
「何がすごいって、その人、セットのパンをナイフとフォークで細かく刻んで食べてたんだぞ?」
「そんなにおかしい?」
「おかしいだろ! ケーキじゃないぞ、パンだぞ、パン! メインの料理がもう来てるのにそっちには手をつけず、小さな皿の上のバゲットとフォカッチャをフォークとナイフで小さく切り分けて、おまけにつねに薄い微笑みを浮かべたまま食べてたんだぞ? おかしいだろ!」
「そうかなあ。パンおいしいからいいじゃん、別に」
「…………」